エルコンドルパサー

キングマンボ、母サドラーズギャル。最強世代と謳われた世代の最強馬に例えられる一頭。デビューはダートだった。的場騎手お得意の「お勉強」騎乗で最後方かと思われたが、直線に入り一気に弾け7馬身差の圧勝を飾り衝撃のデビューだった。続く500万下も圧勝し、共同通信杯4歳Sに挑む。芝への適応が懸念されたが、降雪の影響でダートに変更され、負け知らずの3連勝。そしてやってくたNZT4S。芝への適応力を見せつけ圧勝する。そして迎えたNHKマイルC。一番人気に支持され抜群の競馬センスを見せつけ、3頭の無敗馬を従え無敗のG1ホースに輝く。そして、秋初戦、陣営が選んだのは毎日王冠だった。そこには目下5連勝中のサイレンススズカ、3歳王者のグラスワンダーがいた。エルコンドルは三番人気に推された。グラスワンダーが4コーナーで勝負を仕掛け、直線半ばであっさりと力尽きる。逃げ足を伸ばすサイレンスとの差を縮め、二着を確保した。生涯初の敗戦だった。陣営は世界を目指した。次に選ばれたのはJCだ。同期のダービー馬、名牝エアグルーヴを従え、初の4歳馬優勝を飾る。5歳を向かえエルコンドルはフランスに遠征を決行した。初戦はイスパーン賞。半年振りのレースに加え初の海外戦好位追走から先頭に立つが、ゴール前、クロコルージュのの強襲にあい、惜しくも勝ちを逃がす。だが、つかみは完璧だった。メキメキと調子を上げ、続くサンクルー大賞典を圧勝し、凱旋門賞の前哨戦にあたるフォワ賞をも勝つ。世界最高峰、凱旋門賞に日本馬が2番人気の支持で挑む。モンジューデイラミとの3強の前評判の中、最内枠から好スタートを切り自然とハナを奪う。ややいきたがる面も見せたが、すぐに折り合いをつけ、絶妙なペースでレースを引っ張って行った。早めにタイガーヒル進出してくるがエルコンドルは直線に入り、後続を引き離しにかかる。エルコンドルを目掛け、モンジューが豪脚で迫ってくる。懸命に粘るエルコンドルだがかわされ、差し返しも試みるが半馬身及ばなかった。斤量、展開などの不利を跳ね除け半馬身差の二着に観衆は大きな拍手で称え、「チャンピオンホースが二頭居た。」と最大級の絶賛を送った。遠征結果4戦2勝。日本競馬史に新たな扉を開いた名馬である。21世紀、彼の蹄鉄は日本競馬史の目標になるだろう。